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ボトックスとヒアルロン酸の違いは?シワやたるみ解消にはどちらを選べばいいかを解説

ボトックス注射とヒアルロン酸注射の治療の違いがよくわからないという方も多いかもしれません。どちらも、シワやたるみの治療に用いられる場合があって、自分の症状にはどちらが最適か判断しづらいからです。

ヒアルロン酸は糖質からなる美容製剤であり、ボトックスはタンパク質を主成分とした薬品であることから性質や特徴は全く異なっています。

では、ヒアルロン酸注射はどのような肌トラブルの治療に向いていて、ボトックスとどのような違いがあるのでしょうか。

この記事ではボトックスとヒアルロン酸の特徴と違いについて解説しています。美容外科を受診する場合の参考にしてください。

ヒアルロン酸注射の特徴

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ヒアルロン酸はムコ糖質という糖質の一種からできており、非常に高い保湿力があることが特徴です。皮膚組織の中で水分を蓄え、コラーゲンやエラスチンとともに弾力や張りを維持する役割を持っています。

ヒアルロン酸が減少することで、肌には様々なトラブルが現れます。ヒアルロン酸注入によって改善できる症状について解説しましょう。

ヒアルロン酸注射が適している肌の症状

たるみや乾燥小ジワの改善にはヒアルロン酸注射がおすすめです。たるみの原因には大きく以下の3つがあります。

1.ヒアルロン酸の減少で肌の弾力が減る

2.表情筋の筋肉量が減る

3.皮下脂肪が増える

ヒアルロン酸注射は1の状態に対処可能な治療方法です。通常、ヒアルロン酸は高い保湿力によって皮下組織内に水分を蓄え、弾力の元となるクッションを作り出します。

クッションをコラーゲン繊維がネットになって包み、エラスチンがつなぎ目となることで、組織を支えるを作り柔軟な構造体を形成しています。

この構造体が維持された状態が、健康でハリのある肌の基本です。

ヒアルロン酸が減っていくことでこの構造が崩れます。そして、水分が保持されず皮膚が乾燥したりたるんだりする要因となります。

ヒアルロン酸注射は、こうした肌の症状を以下の効果で治療する方法です。

1.皮下組織を下から膨らませる

2.皮下組織にボリュームをもたせる

乾燥によってできた小ジワはヒアルロン酸注入によって肌の張りを回復することで対処し、たるみにはヒアルロン酸で下から支えることで治療を試みます。

ヒアルロン酸による美容整形

ヒアルロン酸注射は鼻や唇、目元や額の形を整える目的でも利用可能です。ヒアルロン酸による美容整形の種類は以下のようになっています。

額…丸みを出す、横ジワを目立たなくさせる

目…涙袋を作る、くぼみを解消する

鼻…鼻尖の高さを出す、鼻梁のくぼみを解消して高さを一定にする

唇…アヒル口を作る、厚みを作る

このように、顔の特定の部位の形を整える効果を期待できることがヒアルロン酸製剤の大きな特徴です。

ヒアルロン酸については以下の記事でも解説しています。参考にしてください。

ヒアルロン酸注射の持続期間を解説!効果が現れる時期や再注入の間隔の目安について

ヒアルロン酸の肌への効果は?アイテム別の使い方を解説

ボトックス注射の特徴

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ボトックスは、ボツリヌス菌が分泌するボツリヌストキシン製剤を利用した美容治療です。筋肉を緊張させる神経伝達物質、アセチルコリンの受容を阻害することで、過剰に発達した筋肉を縮小させることが目的です。

ボトックスの治療が適している肌トラブルの種類について解説します。

ボトックス注射が適している肌の症状

表情筋によるシワやエラ張りにはボトックスがおすすめです。表情筋の過剰な緊張によってできるシワと乾燥小ジワの違いは、以下の通りです。

1.表情筋によるシワ…無表情なときでもシワが見える

2.乾燥小じわ…笑ったり顔が動きたときに目立つ

表情筋の過剰な緊張によって眉間の縦ジワ、額の横ジワ、目尻のシワなどが引き起こされるため、ボトックス注射は効果的な対処法です。

エラ張りは咬筋という口と顎周辺の筋肉が大きくなりすぎることが原因のため、やはりボトックスを注射して筋肉の動きを小さくすることで改善につなげることができます。

ボトックスについては以下の記事でも解説しています。参考にしてください。

ボトックスの効果が現れるのはいつから?期待できる効果と効果持続時間を長くするコツも解説!

ボトックスの効果を持続させるには?最適な間隔や頻度、部位別の注意点を解説

ボトックスとヒアルロン酸は効果が出る時期が異なる

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ヒアルロン酸は注射のあと比較的すぐに効果を実感することができる治療法です。反対に、ボトックス注射は治療を受けてから数日〜数週間経たないと目に見える変化は現れません

ヒアルロン酸は、水分や皮下脂肪が減ったために肌がしぼんでしまった場所に充填剤として入れるものだと考えてください。

充填剤によってくぼみやしぼみが解消されるため、注射後すぐにシワが目立たなくなったりほうれい線が薄くなったりする効果を期待できます。

ボトックス注射は筋肉に作用して動きを小さくし、徐々に肥大した箇所を縮小させていく治療法です。

アセチルコリンを阻害しても、一度大きくなってしまった筋肉がすぐ影響されることはありません。したがって、ヒアルロン酸は治療効果が早いけれどボトックス注射は注射をしてから効果が出るまでに時間がかかってしまいます。

ボトックスもヒアルロン酸も定期的な治療の継続が必要

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ボトックスとヒアルロン酸の共通点として、どちらも永続的な効果を得られる治療ではないということがあります。

ヒアルロン酸もボトックスも、徐々に注射した箇所の組織に吸収されていくことで効果が薄れていくからです

場所や注射する製剤の量によっても変化しますが、ヒアルロン酸なら長くても1年程度、ボトックスは4ヶ月程度です。

しかし、ボトックスは正しい頻度で繰り返すことで筋肉が肥大しにくくなりエラ張りが再発しなくなるメリットがあります。

ヒアルロン酸も、効果が完全になくなる前に再治療することで、徐々に高さや形を維持する効果を長くさせることが可能です。

ボトックスとヒアルロン酸・製剤の特徴の違い

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ボトックスとヒアルロン酸は、製剤の状態や種類にも違いがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

ボトックス製剤の特徴

ボトックス製剤はアメリカのアラガン社製のボトックスビスタを中心に、世界中で生産されている医薬品ですが、その多くが粉末状です。

一部の製品は液状になっている場合もありますが、クリニックで使われる製剤は粉末のほうが多く普及しています。

注射をする前に、生理食塩水で希釈して治療に適した単位に調節する必要があります。単位とはボトックス製剤の効果を示す指標です。

単位数が高いほど効果が高くなりますが、筋肉の状態によっては単位が高すぎることがデメリットとしてはたらくことがあります

例えば軽度のエラ張りに60単位以上の注射を行うと、顎が動かしづらくなったり口が閉じにくくなってしまいます。エラを解消する目的以上に筋肉量が減少してしまうからです。

ボトックスの単位を調節するには、肌の状態観察をしっかり行った上で、患者さんの希望のデザインの聞き取りに時間をかける必要があります。

ヒアルロン酸注射の特徴

ヒアルロン酸製剤はボトックスとは異なり、最初からゲル状になっています。そしてメーカーや製品の種類ごとにさまざまな硬さや濃度が存在することが特徴です

乾燥小じわの解消には硬度が低めで柔らかいものが適していますし、鼻の形を修正する治療には固くて患部に長くとどまれるものが用いられます。

治療の目的に合わせて硬度と量を選択する必要があり、ミスマッチが起こると治療後のデザインが患者さんの希望通りにならないリスクが生じます。

たとえば唇のボリュームを出す目的で注射したヒアルロン酸が硬すぎた、多すぎたというケースでは、唇が異常に目立ってしまったり形が不自然になったりするため注意が必要です。

ボトックスかヒアルロン酸か迷ったときの判断のコツ

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ボトックスとヒアルロン酸はまったく異なる性質と特徴を持った美容製剤です。しかし、シワやたるみなど、一部の症状ではどちらの注射も対応可能な場合があります。

そのため、たるみの解消にはヒアルロン酸がいいのかボトックスがいいのか迷ってしまうこともあるかもしれません。

シワやたるみに着目し、ヒアルロン酸とボトックスのどちらの治療が適しているのか判断するコツを紹介します。

ヒアルロン酸はほうれい線や目元のたるみに向いている

口元の小ジワやほうれい線、目元のたるみの治療にはヒアルロン酸の方が適している場合が多いです

ほうれい線や目元のたるみの原因は、頬と口元に段差ができることと、目元の皮下脂肪が減少することにあります。

ヒアルロン酸注入によってほうれい線の段差を解消したり、萎んだ目元にボリュームを取り戻すことが可能です。

ボトックスはフェイスラインと首元のたるみに向いている

ボトックスが効果的なのは、フェイスラインから首元にかけてのたるみです。顎周辺から首に掛けての表情筋には、下向きに皮膚を引っ張ろうとする広頚筋というものがあります。

ボトックス注射で広頚筋の力を弱めることで、上方向に引っ張ろうとする抗重力筋の動きがスムーズになり、たるみの改善につながります

また、ボトックスを表情筋ではなく皮下組織に少量ずつ注射するボトックスリフトという治療方法を用いれば、肌の引き締めて軽度なたるみに対処することも可能です。

ただし、マイクロボトックスは深刻なたるみにはあまり効果がなく、ほうれい線の治療など皮膚のボリュームアップには向いていません。

まとめ

ボトックスとヒアルロン酸の違いについて解説しました。ヒアルロン酸は皮下組織に注入することで顔の部位をボリュームアップすることができ、たるみの解消や形の修正などに利用されます。

ボトックスは表情筋の動きを鈍らせることで、眉間や額の深いシワに対してアプローチする点が異なっていました。

しかし、ヒアルロン酸も乾燥小ジワのような軽いシワの症状には対応できますし、ボトックスもフェイスラインのリフトアップ法として対処可能です。

そのため、自分の肌の状態にどちらの治療が向いているのかが分かりにくくなってしまっています。

今泉スキンクリニックでは、患者さんの肌の状態をしっかり診断すると同時に、仕上がりの希望の聞き取りと理想的なデザイン提案を行っています。

ヒアルロン酸注射とボトックス、どちらを行うかについて迷っている方へ必要な治療方法を説明します。ぜひお気軽にご相談ください。