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ボトックスの副作用とは?症状が起こる原因とリスクを防ぐ方法について

ボトックスは大きな副作用が起こりにくい美容治療の一種です。とはいえ、まったく副作用がないともいいきれません。腫れやかゆみのような反応が注射の後で起こることがあります。

何故ボトックスで副反応が起こってしまうのでしょうか。この記事では、ボトックスで起こりうる副作用について解説します。

また、ボトックス注射のリスクと、それを防ぐためにどうしたらいいのかも併せて説明していきます。

ボツリヌストキシンの人体への影響

ボトックス 副作用

ボトックスの主成分である「ボツリヌストキシン」は、自然界に存在する「ボツリヌス菌」から抽出された成分で、タンパク質からなる毒素です。

この毒素は「神経毒」といって、神経伝達物質の働きに影響を与える性質を持っています。毒素という表記ですが、天然のたんぱく質であるため人体に害を与えるものではありません。そのため、ボツリヌストキシン製剤そのものは問題なく治療に利用することができます。

むしろボトックス注射の注意点は、注射のタイミングや1回の量にあるといえます。適切な量の注射を適切なタイミングで行えば、ボツリヌストキシンによる副作用をある程度防ぐことが可能だからです。

ボトックスで副作用が現れる理由

ボトックス 副作用

ボトックス注射で副作用が現れる主な理由は、以下の3つです。

ここからは、その原因について詳しく紹介します。

体質の問題

ボツリヌストキシンに対するアレルギーがあると、痒みや、腫れ、赤みなどの副作用が現れることがあります

アレルギーとは、特定のタンパク質に対して免疫が過剰に反応してしまうことの総称です。人によって免疫が反応するタンパク質の種類はさまざまです。

もともとボツリヌストキシンに対してアレルギーを持っているかどうかは、日常生活からは判断しづらいものです。不安な場合は、事前にアレルギーテストを受けることをおすすめします。

医師の経験不足

適切な箇所に最適な量のボツリヌストキシン製剤を注射できていない場合も、副作用が起こるリスクが大きくなります。

1回の注射でどこにどの程度のボツリヌストキシン製剤を使用するのかは、担当医師が判断するものです。医師の施術経験が少ない場合や、美容整形の医師として勤務した日数が少ない場合、判断ミスが起こるかもしれません

そのような場合は、注入したボトックスの効果が切れるまで様子をみることをおすすめします。

ダウンタイムの過ごし方の問題

ボトックスのダウンタイムは比較的短く、すぐに日常生活に戻れるメリットがありますが、まったく注意がいらないという訳ではありません。

たとえば、注射したところをむやみに触らない、運動や高温での入浴のように血流が良くなるようなことをしないなどです。

注射箇所を刺激したり血行を良くしすぎたりすると、痛みや腫れに繋がりやすくなります。そのため、注射の直後からまる1日をめどに、安静に過ごすことが求められます。

ボトックスの主な副作用5つ

ボトックス 副作用

ボトックスの副作用の典型的な症状を4つ解説します。腫れ、頭痛、吐き気、むくみなどです。一つ一つ見ていきましょう。

腫れ、かゆみ

ボトックスに対するアレルギー反応です。体内の免疫細胞がボツリヌストキシンを異物として捉え、過剰に反応することから起こります。

症状が長引く場合は、注射をうけたクリニックに相談するか皮膚科を受診してください。通常はアレルギー反応が起こっても1週間~1ヶ月程度で鎮静化していきます。

また、注射の後のかゆみや腫れは、注射器に使われている金属に対するアレルギーの可能性もあります。アレルギーを防ぐために、事前のカウンセリングで、金属アレルギーがあるか、薬品や注射でアレルギー反応を起こしたことがあるかなどを申告してください。

頭痛

ボトックスを注射した後、稀に筋肉の運動量がアンバランスになることによって頭痛が起こることもあります。

ボトックスは筋肉を弛緩させて緊張を緩和する作用がありますが、弛緩した箇所と通常の箇所の間で筋肉の動きの違いがストレスを生み、疲労が蓄積してしまいます

あるいは、注射された製剤が皮膚を圧迫するために頭痛を引き起こすこともあります。症状は注射の直後から数日以内には鎮静します。

ボトックスが体内に吸収されていくことで、筋肉の不均衡等が改善されていくからです。めまいに進展するほど強い頭痛の場合は、内科や神経科を受診してみてください。

吐き気、体調不良

ボトックス注射の後に吐き気や倦怠感、虚脱感のような体調不良が現れることもあります。アレルギー反応の一部として現れることや、製剤の量が患者さんにとって適切ではなかったなどが原因として考えられます

頭痛の場合と同じで、弛緩した筋肉と通常の筋肉の間の運動量のアンバランスがストレスとなっていることも原因の一つです。

多くは時間の経過とともに改善しますので、特に心配はいりません。吐き気や体調不良の際は無理をせず安静に過ごすように心がけてください。

むくみ

ボトックス注射を行った後に患部がむくむことがありますが、この症状はボツリヌストキシンが原因とはいえません。

薬剤を注射した影響で、毛細血管の圧力が高まって血流が抑制されるためむくみが発生することがあるからです

あるいは、針を刺したことによってできる傷を治そうとする自然な反応である場合もあります。こうした症状は1週間程度で改善しますが、長引く場合は治療を受けたクリニックに相談するほうがいいでしょう。

ボトックスのリスク

ボトックス 副作用

ボトックスの治療を受ける際に、知っておきたいリスクについて解説します。注射による痛みや、筋力の低下によって起こる諸症状についてです。詳しく見ていきます。

痛み

ボトックスに使用される注射針は、採血に用いるものにくらべると極細です。それでも、刺したときの刺激や、薬剤が注入される影響で痛みを感じる場合もあります

薬剤が皮膚組織へ浸透することで痛みは治まっていきます。針を刺すことでできる傷もごく小さなもののため、特に心配はいりません。

リラックスして注射をうけることで痛みを感じにくくなることもあります。不安な場合は事前のカウンセリングや診察で相談してください。

噛む力の減少

顎から頬骨にかけての咬筋にボトックスを注射した場合、一時的に噛む力が弱くなることがあります

咬筋は顎をうごかす筋肉であり、エラ張りの原因の一つでもあります。咬筋にボトックス注射をすることで、筋肉量が減少し食事のときの咀嚼がしづらくなってしまいます。

しかし、咬筋が縮小する分他の筋肉が動きを補うため、あまり長く続く症状ではありません。硬いものを噛む時に顎が疲れるという状態がしばらく続くかもしれないということは意識しておいたほうがいいでしょう。

表情が不自然になる

ボトックスによって筋肉の動きが制限されてしまうと、表情が不自然になることがあります。適切な部位に適切な量のボトックスが注射されなかったことが原因で、多くは医師の技術不足です

本来注射をすべきでない筋肉にまでボツリヌストキシンを入れてしまったことにより、表情を作る筋肉が不自然な状態になってしまいます。

一度注射したボトックスは取り除けません。そのため、ボトックスの効果が自然に切れるまで様子を見なくてはいけないことに注意が必要です。

皮膚がたるむ

ボトックスのやりすぎによって起こる反応です。顔の筋肉が過度にやせてしまうことで皮膚組織を支えることができなくなり、全体的に垂れ下がってしまう症状が稀に起こります。

あるいは、筋肉が縮小して小さくなったために、表情筋に対して皮膚が余ってしまうからとも考えられています

小顔治療のためにボトックスを何度も繰り返すと、皮膚のたるみも起こりやすくなります。適切な頻度を守ることでリスクを防ぎましょう。

ボトックスを行わない方がいい症例

ボトックス 副作用

ボトックスは誰でも受けられる治療法ではありません。特に、以下に該当する方は要注意です。

神経疾患

筋肉に対する神経伝達物質に異常をきたす疾患を持っている方は、ボトックスを受けないようにしてください

特に、重症筋無力症、ランバートイートン症候群、筋萎縮性側索硬化症の方は注意が必要です。こうした疾患は、全身の筋力が少しずつ低下していく難病で、根本的な治療法が見つかっておらず、治療後も日常生活に支障が出るといった深刻なものです。

ボトックスは筋肉が緊張しないようにする製剤のため、注射を受けると食事の飲み込みが阻害されるなどの症状が現れてとても危険です。すでに発症している方は、絶対にボトックスを受けないようにしてください。

妊娠中・授乳中の女性

妊娠中や授乳中の女性がボトックスを受けると、胎児や赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあります

特に乳児はボツリヌス菌の毒素によって乳児ボツリヌス症という消化器官の感染症を起こしてしまうリスクがあります。

そのため、妊娠中と授乳期間のボトックス注射は避けなくてはいけません。

高齢者

筋肉は加齢とともに自然に減少していくものとなるため、高齢の方もボトックスの注入を避けることが推奨されています。

特に、顔にボトックス注射を行うと皮膚のたるみがひどくなるなどの副作用が現れやすくなるとされています

高齢になってからの小顔整形には、レーザー照射などの治療法が適用される場合もあります。受診するクリニックの医師に相談して、自分の皮膚の状態に適した治療方法を探しましょう。

ボトックスの副作用を防ぐには

ボトックス 副作用

ボトックスの副作用を防ぐには、適切な量の注射を的確な位置に受けることが重要です。そのために、クリニックの医師が経験豊富かどうかを確かめなくてはいけません。

医師の経験値を測るには、事前カウンセリングでどのような質問をされるのかに注目すべきです。

体調やアレルギーの既往歴について質問があれば、担当医師がボトックスのリスクに対して知識があると判断できます。

もし、聞き取りが行われなかったのなら、自己申告するように意識しておきましょう。

まとめ

ボトックスの副作用はさほど多く見られるものではありません。しかし、もともとボツリヌストキシンのアレルギーを持っていたり、治療を担当した医師の判断ミスで適切な量の注射が受けられなかったりした場合、かゆみや頭痛といった症状が現れます。

今泉スキンクリニックは、日本でも珍しい「認定指導医」の資格を持つ院長がボトックスの施術を行っています。

一人ひとりの顔立ちに対して理想的な仕上がりとなるよう、事前のカウンセリングに力を入れています。

副作用が起こるかどうか、どうしたら防ぐことができるかについても相談にのっています。治療に対する不安がある方は是非気軽にご相談ください。