唇の形を整え、ふっくらとした質感を出すためにヒアルロン酸注射を検討する方も多いでしょう。唇の整形のために使用されるヒアルロン酸は約1ccとわずかな量です。しかし、唇の上下のバランスを是正して、理想的な比率を作り出すためには十分な量だと考えられています。
しかし、ヒアルロン酸は注射後から少しずつ体内に吸収されるため、効果が持続する期間はあまり長くありません。
では、1回のヒアルロン酸注射で1ccの製剤を使用した場合、唇の形はどのくらい維持できるのでしょうか。また、2回目以降の注射はいつ行えばいいのでしょうか。
この記事では、唇や口の周辺に注射するヒアルロン酸の効果の持続時間について解説します。ダウンタイムや注意点についても説明するため、唇の美容整形を検討している方は参考にしてください。
唇にヒアルロン酸注射をする目的と効果
唇や口の周辺にヒアルロン酸を注射する目的は、上下の唇のバランスを整えて見た目の美しさを作り出すことです。また、口の両端や上唇の頂点など部分的に注射することで、あひる口やM字型のように、自然に微笑んでいるようなラインを作れます。
唇の形は表情の印象を左右するものであり、今の形状を変えるように希望する方も多いです。ヒアルロン酸製剤は適度な硬さを持っているため唇の整形に向いており、周辺の水分を保持する効果もあるためふっくらとした形状を作ることに適した美容整形の方法です。
ヒアルロン酸注射で唇の黄金比率を作り出す
美容整形の観点において、唇の形には黄金比という基準があります。これは、「誰が見ても美しく感じられるバランス」のことです。
具体的な唇の比率は以下のようになっています。
- 厚みの比率……上唇1:下唇1.5
- 全体の比率……唇の高さ1:唇の幅3
唇が薄い、上下左右のバランスが悪いことに悩んでいる方に対して、上唇と下唇の任意の箇所にヒアルロン酸を注射することで理想的な形を作ることが治療の目的です。
唇のヒアルロン酸はどのくらいもつ?
唇に厚みを出したりふっくらさせたりするために注射されるヒアルロン酸は、1ccとごくわずかです。具体的には、美容治療に使うヒアルロン酸製剤約1瓶分です。
しかし、患者さんの唇の状態やもともとの大きさ、どのようなデザインに仕上げたいかによって注射する量は変わります。
そのため、1ccをすべて使い切らなかったり、部分的に分けて注射することで1cc以上の製剤を使用する場合もあります。
したがって、1ccのヒアルロン酸の効果が持続する期間は、治療方法によって変化が大きいといえます。
1ccのヒアルロン酸の持続期間
唇の治療に1ccのヒアルロン酸製剤を注射した場合の効果の持続時間は、治療の状況によってかなり幅広くなっています。
持続期間が一定でない理由は、ヒアルロン酸製剤の硬度にさまざまな種類があるからです。または、もともとの唇の形や大きさと新しく作りたい形によって実際に必要となるヒアルロン酸の量が異なることも原因の一つです。
唇の美容治療に用いられるヒアルロン酸製剤の濃度は、比較的軟かいものが一般的です。しかし、ヒアルロン酸の硬度と濃度によって形成可能なデザインかどうかが左右される場合があります。したがって、ヒアルロン酸はメーカーによって硬さが異なり、同一ブランドでも硬度が複数種類存在する場合があります。
1ccのヒアルロン酸の持続期間目安です。
- 硬いヒアルロン酸…約1年
- 軟かラメのヒアルロン酸…半年~1年
- とても柔らかいヒアルロン酸…3~4か月
硬めのヒアルロン酸を使用すると、しっかりと形を決めることができ、柔らかめのヒアルロン酸を使うとふっくらとした質感を出すことができます。
ヒアルロン酸の硬度は治療の目的によって使い分けられ、持続期間の変化につながります。
そのため、メーカーは独自に技術開発に取り組んでいます。例えば添加物の量を調整したり、濃度を高めたりするなどです。
あるいは、ヒアルロン酸の凝集性を高めることで、1回の注射による持続時間を長くしている製品もあります。凝集性とは、注射した後皮膚組織や筋肉の中にヒアルロン酸が分散しづらく形を整えたい場所に長く留まる性質のことです。
以上のように、1ccのヒアルロン酸の持続期間は状況によってかなり幅が広いことが分かります。
唇のヒアルロン酸注射の間隔
一度注入したヒアルロン酸は、3~4ヶ月程度効果が持続しますが、その後は人体に吸収されていき、徐々に効果も失われます。そのため、唇の形を維持したいのなら一定の間隔をおいて再注射することが推奨されます。
唇へのヒアルロン酸注射の間隔は、半年~1年に1回が目安です。あまり頻繁に注射を繰り返すと唇が硬くなったり凸凹がめだったりしてしまう危険があるからです。
1年程度の期間を開けて2回目以降の注射をすることが、皮膚組織などに負担をかけずに済むので理想的です。
さらに、注射を何度か繰り返すことで唇の形が保持されやすくなり、次の注射まで1年以上効果を持続できる場合もあります。
唇のヒアルロン酸は効果が失われ始める4ヶ月目以降を目安に、定期的な治療を継続することが望ましい美容治療といえます。
唇のヒアルロン酸注射のダウンタイムについて
ヒアルロン酸注射の後で痛みや腫れ、内出血などが起こることがあります。唇は顔の中でも皮膚が薄いため、他の場所に比べてダウンタイムの症状が現れやすくなっています。
注射の後で唇が腫れたり痛みが生じたりした場合、回復まで早くて2~3日、長い場合だと1週間ほどかかります。多くの症例では時間が経つと自然に症状は治まっていくため心配はいりません。
しかし、注射した箇所が硬くなったりしこりになったりしている場合は必要です。
ヒアルロン酸による副作用の可能性が高いです。注射から1週間以上の時間が経っても自然に回復しない場合は、クリニックに相談してヒアルロン酸の溶解剤を注射してもらうなどの処置が必要になります。
ヒアルロン酸のダウンタイム自体は他の美容治療に比べて短くなっていますが、副作用がまったくないわけではありません。
注射を行った直後から数日間は、患部を刺激せず安静に過ごすことでダウンタイムを短くできることもあるため、腫れや内出血が起こってしまったら、マスクをするなどして唇を守りましょう。
唇のヒアルロン酸注射の注意点
唇にヒアルロン酸を注射する場合の注意点について解説します。稀に、唇が分厚くなってしまったり思ったような形にならなかったりするアクシデントが起こることもあります。
ヒアルロン酸注射による見た目のトラブルの原因と、予防のためにどうすればいいのかを見ていきましょう。
厚みが出過ぎる
唇のヒアルロン酸注射でもっとも多いアクシデントが、事前に相談したときのデザイン作りがうまくいかずに厚みが出過ぎるということです。
原因は患部に注射したヒアルロン酸の量が多すぎたことと、短期間に注射を繰り返したことが考えられます。
前述したように、ヒアルロン酸は注射した後徐々に体内に吸収されていくため、定期的に治療を再開する必要があります。
注射を再開するタイミングが早すぎたり量を多く入れすぎると、唇が厚ぼったくなってしまいます。また、治療前にどんな形の唇にしたいのかを医師としっかり相談できていなければ、イメージ通りのデザインにならず、結果として厚みが出過ぎることもあります。
厚みが出過ぎてしまうトラブルを避けるためには、事前のカウンセリングで希望のデザインについて医師としっかり話し合うことが重要です。
注射した箇所が青白く見える
唇は皮膚が薄いため、注入したヒアルロン酸が透けて見えてしまうことがあります。表皮のすぐ下に注射してしまった場合に良く起こるアクシデントです。表皮組織付近ではなく、もう少し深い位置に注射を行うと、注入したヒアルロン酸製剤が目立つことはありません。
しかし、注射したヒアルロン酸が青白く透けてしまうと、形に問題がなくても唇が部分的に不自然な見た目になってしまいます。
ヒアルロン酸の効果がなくなるまで、口紅で隠す方法もありますが、不安に感じる方は、あらかじめクリニックに相談してみてください。
治療を担当する医師の施術経験について質問をしたり、注射のやり直しを依頼できるか確認しておくことも重要です。
血栓ができる
注射したヒアルロン酸が血管を詰まらせることで血栓ができ、周辺の細胞が壊死してしまうことも稀に起こります。
一度に大量のヒアルロン酸を注入しすぎたことや、針が細い専用の注射器を使わなかったことが原因だと考えられています。
重篤な血栓ができると、周辺の組織に影響あり、非常に危険です。予防するためには、やはり医師の治療経験や注射を行った回数を確認することが重要です。
まとめ
唇へのヒアルロン酸注射は、ふくらみを出したり唇の形や上下の比率を変えることを目的に行われます。
しかし、注射する量や位置がうまくいかないと注射の後で患部がしこりになったりヒアルロン酸が青白く透けてしまうかもしれません。
また、永続的な効果を得られる治療ではないため、何度か注射を繰り返す必要もあります。
今泉スキンクリニックでは、独自の注入方法でヒアルロン酸の注射を行っています。
患者さんの骨格や顔立ちにもっとも適した量や位置を考えて注射することで、オーダーメイドに近い理想的なデザインに仕上げることをめざします。さらに、事前のカウンセリングを丁寧に行って、患者さんの希望をしっかりと聞き取りしています。
唇の形に悩んでいるけれど、治療の失敗が不安だという方は、是非気軽にご相談ください。