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注射したヒアルロン酸を溶かす方法は?分解注射を行う場合の注意点とダウンタイムの過ごし方

ヒアルロン酸注射は、目元のくぼみやほうれい線の治療、唇や鼻の形の成形などに用いられる美容治療です。

注射することで、顔の特定の部分をボリュームアップし、シワを目立たなくしたり形を変えたりすることができます。

しかし、治療の後で思ったようなデザインに仕上がらないという悩みを抱える患者さんもいます。その場合、一度入れたヒアルロン酸を溶かし、効果をリセットすることも可能です。

この記事では、ヒアルロン酸分解注射の治療の流れについて解説しています。

ヒアルロン酸を溶かす方法

ヒアルロン酸 溶かす

ヒアルロン酸は、早ければ数ヶ月程度で分解され、効果が消えていく性質を持っています。

しかし、部分的に膨らんだり痛みを伴っていたりする場合には、薬剤を注射して溶かす方法が用いられます。

ヒアルロン酸を溶かすためには、分解酵素のヒアルロニダーゼを含んだ分解注射を使用します。

患部に注射することで、皮膚の下にあるアルロン酸を除去できるため、早急にヒアルロン酸注射の影響を解消することが可能です。

ヒアルロニダーゼの働き

ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸を作っている分子に介入し、結合部分を切断して小さな破片にする作用を持っています。この働きを、加水分解といいます。

ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の結合部分のみに反応する酵素であるため、注射した場所に存在するヒアルロン酸を狙って溶かすことが可能です。

分解されたヒアルロン酸は尿や汗に混ざって体外に排出されるため、健康に影響はありません。急いで効果を消したい患者さんには最適な治療です。

ヒアルロン酸については以下の記事でも解説しています。参考にしてください。

ヒアルロン酸注射は副作用や後遺症のリスクも?適切な施術を受けるためのポイントも合わせて紹介

目の下のくぼみ、クマへのヒアルロン酸注射の効果は?持続期間や注意すべき点について解説

ヒアルロン酸はほうれい線に効果あり?3つのメリットや後悔しないための注意点も紹介

分解注射でヒアルロン酸が溶けない原因

ヒアルロン酸 溶かす

分解注射を使っても皮膚の中のヒアルロン酸が溶解しないことがあります。理由はヒアルロン酸製剤の種類にもよりますが、主に不純物が混ざっていることと、量が適切ではなかったことが原因です。

注入したヒアルロン酸が溶けにくい原因について解説します。

防腐剤などの不純物の影響

安価な製品や未認可の注射には添加物が入っている場合があり、ヒアルロニダーゼの効果を阻害してしまいます

たとえば合成樹脂、カルシウム、防腐剤などです。合成樹脂は、ヒアルロン酸注射と同様に皮膚を下から持ち上げてシワやくぼみを解消する治療に用いられていました。

しかし、ヒアルロン酸とは異なり一度入れてしまうと除去することが難しく、治療後の形を変えることができないデメリットがあります。

そのため徐々に美容クリニックでは使用されなくなっていきました。ですが、一部の製剤にボリュームアップや価格を落とす目的で合成樹脂が混入している可能性は否定できません。

治療を行うスタッフの技術的な問題

必要以上にヒアルロン酸を注射してしまったり、部分的に多く入れすぎてしまったりすると一回の分解注射で完全に効果を消すことができなくなります

技術と経験を持ったスタッフによる施術なら、肌のトラブルを避けるために数カ所から少量ずつ注射を行っているはずです。したがって、ある程度安心して治療を受けることができます。

または、分解注射を打つ場所がずれてしまったり、注入の仕方に誤りがある可能性も全くないわけではありません。こうした場合にも分解注射の適切な効果を得られなくなってしまいます。

多くの美容クリニックでは、注射などの治療を行う者に対して施術回数や美容外科での勤続年数に規定を設けており、一定の技術力がなければ患者さんに施術できないようになっています。

所属している医師のプロフィールなどが公式ホームページで確認できる場合は、事前にチェックしておくと安心です。

注射したヒアルロン酸をすぐ溶かすべき5事例

ヒアルロン酸 溶かす

ヒアルロン酸注射で皮膚の中に入った製剤は、多少トラブルがあっても時間が経てば自然に分解されて効果が無くなっていくため多くは経過を見守るだけで対応可能です。

しかし、中にはすぐにでも除去する方が良い事例もあります。代表的な事例5つについて解説します。

ヒアルロン酸を入れすぎた

鼻筋の整形や、唇のボリュームアップのためにヒアルロン酸注射をしたことで、かえって鼻や唇が大きくなってしまうことがあります。原因の一つとして、ヒアルロン酸の量が多すぎたことが考えられます。

この場合、ヒアルロン酸分解注射の量を少なくし、少しずつ溶かす方法で対処することが可能です

ただ、少しだけ溶かす目的で少量の分解注射をしても、患者さんの体質やすでに吸収されたヒアルロン酸の量によっては残った、ヒアルロン酸がすべて分解されてしまうことも起こり得ます。

基本的に、分解注射は施術箇所のボリュームダウンではなく、一度治療効果を完全にリセットしてしまうというものだというイメージを持っておきましょう。

目の下に入れたヒアルロン酸が青く目立つ

目の下のクマやくぼみ、シワ改善のために入れたヒアルロン酸が青く透けて見えてしまうことがあります。チンダル現象といって、ヒアルロン酸を入れた位置が浅すぎるために起こる症状です。

原因として、部分的に多量の注射をしてしまったことも挙げられます。また、目の下の皮膚は顔の中でも特に薄い場所であり、他の場所に比べてヒアルロン酸が透けて見えやすいリスクがあります。

チンダル現象はそのままでは改善しません。製剤のある位置が表皮に近すぎて、体内に吸収されにくいからです。そのため、溶解させて効果を消してしまうことが必要です。

注射した部分がしこりになった

注入したヒアルロン酸製剤が皮膚の中で凝固してしまったり、異物反応を起こしてしまったりした場合に患部にしこりができます。

中にはしこりに痛みが生じたり、赤く腫れた状態が長期間続くこともあります。ヒアルロン酸そのものは安全性の高い物質ですが、患者さんの体質によっては免疫が働き周囲に炎症を起こしてしまうこともあります。

小規模のしこりなら、自然に治癒していく場合もありますが、痛みを伴う場合はすぐに分解注射で対処しなくてはいけません

また、治療するまえにしこりを触ったりもんだりしてしまうと症状が悪化する可能性があります。腫れや膨らみが気になっても決して手を触れないようにしましょう。

仕上がりに満足できない

注射のあとで思ったようなデザインに仕上がらなかったという理由で、分解注射を希望する患者さんもいます。

クリニックによっては、デザインの不満は施術した者の責任ととらえ、補償制度を設けている場合もあります。

通常は治療を担当する医師と事前にデザインや製剤の種類について細かく相談できるため、注射による仕上がりの不具合は起こりにくくなっています。

とはいえ、間違って量を多く注射してしまったなどの事故は0ではありません。どうしても納得できない場合、クリニックに相談してヒアルロン酸を抜いてもらえることは、ヒアルロン酸注射による美容治療のメリットでもあります

ヒアルロン酸の品質が悪い

ヒアルロン酸注射の中には、カルシウムなどを混ぜて製剤をかさ増しし、価格を落としているものもあります

こうした低品質なヒアルロン製剤を注射すると、体内での異物反応が起こりやすくなるとともに、長期間溶けずに残留してしまう危険があります。

特に、自分でヒアルロン酸注射をするために通信販売などで製剤を購入してしまった場合に起こりやすいトラブルです。店舗ではなく通販で取り扱われている製剤の中には正規品のパッケージの中に別の薬剤を入れて販売している例もあるため、注意が必要です。

ヒアルロン酸分解注射を打った後の注意点

ヒアルロン酸 溶かす

ヒアルロン酸注射を打った後の注意点について解説します。ヒアルロニダーゼ注射そのものは人体に害のない物質ですが、稀に低品質な製剤を用いたりすると期待する効果を得られない事があるからです。

また、ヒアルロニダーゼによる副作用が起こることもあります。それぞれの注意点を見ていきましょう。

低品質な注射を用いると効果が薄い

ヒアルロン酸分解注射は、美容治療のためのヒアルロン酸製剤を製造している会社が生産しているものが品質や安全性に対する信頼が高く、クリニックで多く使用されています。

しかし、稀にそうした正規品ではなく安価で効果が低い分解注射が用いられることもあり、その場合一度でヒアルロン酸を取り切ることができません

一回の注射でしこりや膨らみが改善しなかった場合には、何度か通院して注射を繰り返す必要があります。可能ならば、受診するクリニックで使っているヒアルロン酸分解注射の種類について質問してみましょう。

ヒアルロン酸分解注射を打った際の副作用

注射をした箇所が一時的に腫れてしまうこともあります。これは数時間から1日程度で収まるため、特に心配はいりません。

ただ、注射した場所が内出血を起こしたり、かゆみや赤みなどのアレルギー反応が起こることがあります。

アレルギー反応が重篤な場合は、腫れやむくみが全身に広がったり、呼吸が阻害されてしまい危険です。すぐに病院を受診して、抗アレルギー薬やステロイド剤を投与してもらう必要があります。

とはいえ、そこまで深刻な症状に至る事例はごく僅かです。もし不安なら、事前にヒアルロニダーゼのアレルギーチェックを受けておくといいでしょう。

まとめ

ヒアルロン酸を溶かす方法や注意点について解説しました。ヒアルロン酸そのものは時間が経つと体内に吸収され効果が消えてしまいます。しかし、中にはアレルギーや異物反応を起こしすぐに除去しないといけない場合もあります。

また、デザインの不満や量の間違いによるトラブルが起こり分解注射が適用されるケースもあります。

今泉スキンクリニックでは、患者さんの負担を減らすために事前のデザイン相談をしっかり行い、安全な施術を可能にするためのスタッフの技術向上にも取り組んでいます

ヒアルロン酸注射を希望しているけれど、副作用や失敗が不安という方は、ぜひお気軽にご相談ください。