マイクロボトックスには効果がないといわれる場合があります。その理由は、適切な治療ができていないことやダウンタイムの過ごし方である場合がほとんどです。
適切な治療を受け、ダウンタイム中にさけるべきことを意識していれば、シワ改善などの十分な美容効果を発揮します。では、マイクロボトックスの効果を得るためにはどのような注意が必要なのでしょうか。
この記事では、マイクロボトックスの効果が出ない場合の対処方法と、ダウンタイムについて解説しています。
マイクロボトックスの効果について
マイクロボトックスは、ボツリヌストキシン製剤を通常より浅く広い範囲に注射する治療法です。筋肉ではなく、真皮層から筋膜にかけて成分を浸透させることで皮膚の表面部分を変化させることを目的としています。一回の施術から目に見える効果があらわれるまで、およそ2週間ほどです。
マイクロボトックスの主な効果は、皮脂の抑制、小ジワの改善、首からデコルテにかけての肌の引き締めなどです。詳しく解説します。
皮脂の抑制
マイクロボトックスには、汗や皮脂の分泌を抑えたり、ニキビを改善する効果があります。具体的な治療方法は、0.2mmほどの針を使って肌の真皮層から筋膜層に対しボツリヌストキシン製剤の注射をするものです。
真皮層には汗腺や皮脂腺が存在し、筋膜層は全身の筋肉を支えたりする働きがあります。真皮層にボトックスを施術することで、汗腺や皮脂腺に送られる神経伝達物質の働きが鈍ります。
ボトックスの元になっているボツリヌス菌由来の毒素は、筋肉や汗腺などに指令を与えるアセチルコリンの働きを阻害し、過度な筋緊張を防ぐ効果があるからです。
そのため、汗腺や皮脂腺の働きが弱まり、過剰な皮脂の分泌が抑えられるため、肌のべたつきやニキビの治療に効果を発揮します。
したがって、マイクロボトックスはオイリー肌の悩みを抱えている方や、汗をかきやすい方に適した治療方法といえます。
小ジワの改善
肌に小ジワができる原因は、紫外線の浴びすぎなどから起こる乾燥です。乾燥は皮脂の過剰な分泌と無関係ではありません。あるいは、筋肉が過剰に緊張する影響で特定の部分にシワができてしまう場合もあります。
マイクロボトックスは、乾燥に加えて筋肉の緊張が原因の小じわに効果的です。眉間や額、目元など、無意識に力が入ってしまう位置にはシワができやすいリスクがあります。
ボツリヌストキシンが筋肉を弛緩させることで、表皮のこわばりが解消されてシワの改善につながります。
あるいは、ボトックスを注入する際の針の刺激によって、コラーゲンの生成を促すことも可能です。
紫外線による刺激でコラーゲンの生成やヒアルロン酸の保水効果が失われると、表皮層から真皮層にかけて細胞が水分を失った状態になってしまいます。
この時、表皮からのさらなる水分消失を防ぐために、皮脂腺は過剰な皮脂を分泌して肌を守ろうとします。しかし、過剰な皮脂はべたつきの原因となり、洗顔やふき取りの頻度をあげてしまうため、余計に肌が乾燥します。
マイクロボトックスで過剰な皮脂を抑制しつつ、真皮層を刺激してコラーゲンの生成を刺激することで、細胞の水分量が正常になり肌の乾燥は改善されます。そして徐々に乾燥小ジワも目立たなくなっていくことが治療の仕組みです。
首やデコルテの皮膚のたるみを改善する
マイクロボトックスは、広い範囲に浅く施術することに適した治療のため、首からデコルテにかけての治療にも効果的です。
首とデコルテは年齢による影響が現れやすい部位であるにもかかわらず、セルフケアが難しい場所です。そのため、自宅できちんとした手入れができないという方が多くなっています。
マイクロボトックスを首周辺の筋肉の表面に注入することによって、筋肉の過剰な緊張から起こるシワやたるみを改善することができます。
また、針を刺す刺激によって首周辺の真皮層を活性化させ、保湿成分であるコラーゲンやエラスチンの生成を促します。
保湿成分が正常に分泌されると、真皮層の中で線維芽細胞や水分によって構築される網目構造のバランスが正常化されます。したがって、たるみがちな皮膚を支える力が強化され、皮膚が引き締まります。
さらに、コラーゲンが十分な水分を保持できるようになり小ジワが増えにくくなることも、シワとたるみ改善の要因の一つとなっています。
首にシワが増えると、実年齢よりも老けて見えるリスクがあるため、首からデコルテへの皮膚のアンチエイジングに対してマイクロボトックスは効果的といえます。
マイクロボトックスには効果がない?
マイクロボトックスの治療を受けても、思ったような効果を得られない場合があります。具体的には、表情が不自然になってしまったり眉毛が吊り上がってしまったりなどです。
こうした症状が起こる理由は主に3つで、量や位置が正しくない、シワやほうれい線が深すぎるから、製剤の選び方の問題となっています。
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
ボトックス製剤の量と注射位置が正しくない
マイクロボトックスは眉間や額のシワ改善、目尻のシワや目元のたるみ改善などを目的に施術されます。ボトックスの筋肉弛緩作用によって、シワの原因になっている緊張を緩和させるためです。
注入される量は、通常のボトックス注射の10分の1~20分の1程度とごくわずかです。しかし、部分的に注射する量が多くなりすぎると、弛緩させたくない筋肉までゆるんでしまい表情筋が動かしにくくなったり皮膚が垂れ下がったりしてしまいます。
こうしたアクシデントを避けるためには、治療を担当する医師の施術回数や美容外科への勤務経験を確認しておくといいでしょう。
ほうれい線や深いシワには効果がない
ほうれい線の原因は加齢による皮膚のたるみが原因のため、筋肉に作用するボトックス注射では根本的な治療はできません。同様にたるみによってできてしまった深いシワの治療効果も期待できません。
ほうれい線の改善には肌のハリや弾力を取り戻すことが重要です。リフトアップ手術や、コラーゲン注射などの治療方法の方が適しています。
ボトックス製剤の性質に問題があった
マイクロボトックス製剤は、メーカーごとに濃度が異なっています。ボツリヌス菌から抽出した毒素を生理食塩水で希釈して、浸透するスピードなどを調整しているからです。
しかし、濃度が薄くなりすぎると効き目が弱くなる、治療目的ではない筋肉まで影響を受けてしまうなどのリスクが生まれます。
治療する場所に対して適切な濃度の製剤が使用されなかった場合は、治療のあとで思ったような効果を得られないことがあります。
マイクロボトックスのダウンタイムについて
マイクロボトックスのダウンタイムはほとんどないことが特徴です。注射の当日からメイクが可能だったり、治療後すぐ帰宅できたりなど手軽に受けられる美容治療といえます。
しかし、まれに副作用が出ることがあるため、治療後数日~1週間は注意が必要です。マイクロボトックスの副作用や、ダウンタイム中の注意点について見ていきましょう。
マイクロボトックスの副作用
マイクロボトックスの主な副作用は以下の通りです。
- 肌のかゆみ
- 肌の赤み
- 内出血
- 痛み
- アレルギー症状
肌のかゆみ、赤み、アレルギー症状などの原因は、患者さんがもともとボトックスに対するアレルギーを持っていた場合に発症します。アレルギーの原因物質は多岐に渡り、自分にボトックスのアレルギーがあるかどうかは検査しないと分かりません。
不安な方は、事前のカウンセリングで相談するか、皮膚科でアレルギー検査を受けておくといいでしょう。
内出血や痛みが起こるのは、注射針を刺したことによる傷を治そうとする自然な反応ですが、注射の直後に患部をこすったり強く押したりしてしまうと症状がひどくなることがあります。
副作用を避けるためのダウンタイムの過ごし方
マイクロボトックスの副作用を避けるためのポイントは、体温が急に高くなるようなことと患部への刺激を避けることです。
飲酒や激しい運動、サウナやホットヨガなどは治療後1週間程度は控えるようにしてください。
体温が上がるということは血流がよくなるということです。ボトックス製剤が注射した場所に定着せず効果が薄くなったり、性質が変化してしまったりする可能性があります。
タンパク質でできているボツリヌストキシンは、80度以上の高温で変性するといわれています。人の体温がそこまで高くなることはありませんが、高温の入浴はボトックスに悪影響を与える可能性があります。
したがって、マイクロボトックスの治療を受けてからしばらくの間はぬるめのお風呂やシャワーだけの入浴を心がけたり、ジムやマッサージは控えるようにしてください。
まとめ
マイクロボトックスの効果とダウンタイムについて解説しました。マイクロボトックスそのものは額や目元のシワ改善などに効果的な治療方法であり、ダウンタイムがほとんどないことも魅力です。
しかし、治療したい箇所に適切な種類の製剤を注射しなくてはいけない、注射の直後は激しい運動や飲酒を避けて安静に過ごさなくてはならないなどの注意点もあります。
これを破ってしまうと、小ジワが改善されなかったり注射した場所がたるんでしまうリスクが生じます。
今泉スキンクリニックでは、患者さんの骨格や表情筋の状態を観察し、もっとも適した治療を行えるように事前のカウンセリングに力を入れています。
人の顔立ちにはそれぞれにもっとも理想的な状態があるため、患者さんの悩みをしっかり聞き取りし最適な治療方法を探る必要があると考えるからです。
院長は日本でも珍しい認定指導医の資格を持っており、所属医師に対してマイクロボトックスの治療指導を行っています。
マイクロボトックスで効果が得られるか不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。