「薄毛」と聞くと、男性の悩みと捉えられがちですが、近年、抜け毛や薄毛を気にして来院される女性が増えています。若いうちから薄毛になる方、歳を重ねるにつれて髪のボリュームやハリがなくなってきた方など、抜け毛、薄毛は年齢、性別にかかわらず、誰にでも起こります。
特に女性は、出産後や更年期での抜け毛に対する悩みが多いです。脱毛の原因を知り、適切な対処をしていけば、進行を抑えることもできるのです。まずは、その原因を知ることからはじめましょう。
原因その1 遺伝
残念ながら、薄毛は遺伝すると考えられています。しかし、必ずしも「薄毛」になるわけではなく、「薄毛を発症しやすい体質」を受け継いでいるだけのことで、発症しない方もいらっしゃいます。「家系的に将来が心配」と思うようであれば、遺伝子検査を受けてみるのもよいでしょう。
遺伝子検査では、遺伝子の情報から「将来、薄毛になる可能性」のリスクと、お薬の効果を予測することができるので、個々にあった治療方針を立てていくことができます。
原因その2 ストレス
過剰なストレスは、自律神経のバランスを乱します。ストレスフルな状態が続くと、毛細血管が収縮して血流が悪くなり、毛根に十分な栄養が届かなくなり、毛髪の成長が妨げられ「抜け毛」「薄毛」へとつながることがあります。
ストレスは、身体に多くの悪影響を与えます。将来の薄毛を予防するためにも、血行促進や気分転換のためにスポーツなどで体を動かす、質の良い睡眠をとるなど、ストレスをため込まないようリラックスした時間を持つことを心掛けてみましょう。
理由その3 ホルモン
意外ですが、女性にも男性ホルモンは存在します。もちろん、その量は男性よりも少ないのですが、卵巣や副腎などから「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンが分泌されています。この「テストステロン」がとある酵素と結合すると、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が作られ、DHTが男性ホルモン受容体と結合し、「薄毛」を発症させます。DHTが毛根細胞を萎縮させ、髪の成長を妨げてしまうためです。
また、女性の場合は女性ホルモンの「エストロゲン」も「薄毛」に大きく関係しています。「エストロゲン」は、ヘアサイクルを整え、健康的な髪の毛を保つ働きがありますが、出産後のホルモンバランスの乱れや更年期などで、エストロゲンが減ってくると、「薄毛」へとつながっていくのです。
原因その4 食事・生活習慣
ファーストフードやインスタント食品など、動物性油脂を多く含む食品ばかりを食べ続けていると、血液中のコレステロールが増え、血流を悪化させてしまいます。すると、毛母細胞に十分な栄養が届かず、髪の成長を阻害する可能性があります。
また、過度な飲酒は髪の成長に必要なタンパク質の不足を招きます。
さらに喫煙は血管の収縮を引き起こすため血流が悪くなり、毛母細胞へ栄養を十分に補給することができなくなってしまうことも。
そして、睡眠時間の乱れは、成長ホルモンの分泌量を減らすため、髪の成長にも悪影響を及ぼす恐れがあるのです。
原因その5 過度なヘアケア(特に女性!)
頭皮を不潔にしていると抜け毛を増やす原因になりますが、行きすぎたヘアケアも「薄毛」の原因となりますのでご注意を。
「抜け毛が気になるから」や「きれいに洗いたいから」などという思いから、洗浄力の強いシャンプーを使っていたり、1日に2度3度と洗いすぎてしまうと、頭皮に必要な皮脂まで洗い落としてしまいます。また、育毛剤の使用方法や用量を守らず過度に使用することも、間違ったヘアケアです。
原因その6 過度なダイエット(特に女性!)
過度なダイエットも「薄毛」の引き金となります。実は、体のすみずみまで栄養を行き渡せるには、優先順位があります。頭髪(頭皮)へ栄養素が送られる優先順位は、最後に近いのです。そのため、栄養不足や栄養の偏りの影響を、大きく受けてしまうのが頭皮なのです。
食事の量や回数を減らすなどの無理なダイエットは、頭皮に存在する「毛根部」の栄養不足となり、「薄毛」へとつながりかねません。
さらに、過度なダイエットはホルモンバランスの乱れも生じてしまい、「薄毛」を招く原因となります。無理な(又は急激な)ダイエットは控え、運動とバランスの良い食事で健康的な体重減少を心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
抜け毛、薄毛の原因は様々であり、人それぞれ違うという側面もあります。
女性の場合、加齢やストレス、生活習慣の乱れなどによる影響が大きいようです。頭髪の悩みの原因は何なのか、まずはきちんと知ることが必要です。少しでも「薄毛」が気になるようならば、専門の医療機関を受診し、適切な指導を受けましょう。
また診断結果によっては、健康保険が適用される場合もあります。自由診療の場合は、治療内容と料金が妥当かどうか、きちんと確認してから治療を受けましょう。